胃生検組織診断分類(Group分類)(2010)


1 Group X:生検組織診断が出来ない不適材料
上皮成分が採取されていない標本。採取されていても挫滅や熱凝固で組織診断が出来ない標本がこの群に属する。

2 Group 1:正常組織および非腫瘍性病変
正常組織、化生性粘膜、炎症性粘膜、過形成性粘膜などが含まれる。びらんおよび潰瘍、過形成性ポリープなどに再生性・反応性異型が認められても、非腫瘍性 と判断される組織は本群に含まれる。

3 Group 2:腫瘍性か非腫瘍性か判断の困難な病変
このGroupには次のような症例が含まれる。このGroupに含まれる診断をする場合は、臨床家へ対しては判断の困難な理由を明らかにし、付記すること が望ましい。
3.1異型細胞は存在するが、組織量が少なく細胞異型からでは腫瘍性病変(腺腫または癌)としての判断が困難な症例。(臨床的な再検査を行ない確定診断が 必要。)
3.2異型細胞が存在するが、びらんや炎症性変化が強く腫瘍(腺腫または癌)か非腫瘍かの判断が困難な症例。(臨床的に消炎後再生検を行なうか十分な経過 観察が望まれる。)
3.3異型細胞が存在するが、病理組織の挫滅や障害が強く腫瘍(腺腫または癌)か非腫瘍かの判断が困難な症例。(臨床的な再検査を行ない確定診断が必 要。)
 また、このGroupの診断の場合、病理側としては、まずは深切り切片などを作製し追加検討を行なう。さらに本診断が続く場合には、専門家への病理コン サルテーションを行うことをすすめる。

4 Group 3:腺腫
 この群の中には細胞異型および構造異型の点で幅のある病変が含まれるが、腺腫と判断されるもの。

5 Group 4:腫瘍と判定された病変のうち、癌が疑われる病変
 腫瘍性病変(腺腫または癌)と考えられるが腺腫か癌か鑑別できない病変。

6 Group 5:癌
 癌の組織型を付記する。2種類以上の組織型が存在する場合、その組織型を優勢像から列記する事が望まれる.
 
この分類では、病理診断過程に沿って、1)病変が評価可能かどうか(Group Xvs Group 1-5)、2)病変が腫瘍か(Group 3,4,5)、非腫瘍か(Group 1)、判定不能か(Group 2)、3)腫瘍性病変が癌(Group 5)、腺腫か(Group 3)、癌か腺腫かの判定が困難(Group 4)に分けることとする。これまでのグループ分類では、グループ2とグループ4の異型を有する病変が存在したが、新グループ分類では実際にグループ2やグ ループ4に対応する病変が存在するわけでなく、Group2では生検組織では腫瘍(良性および悪性腫瘍性病変)か、非腫瘍性病変なのか診断に関わった病理 医が判断できない。また、Group4では領域性があり腫瘍と判断されるが良性腫瘍か悪性腫瘍か生検組織では判断できないものに対して付けることとなる。 従って、特に臨床対応として重要な点は、Group 2には癌から採取された病変が入る可能性が存在することである。従って、Group 2と診断した病変については病理学的な再検査を推奨することとした。また、Group 2が続いて診断される場合は、臨床医と相談し、他の病理医へコンサルテーションすることも勧めている。