1.
進行性腺腫は下記の a, b, c のいずれかを満たすもの a. 管状絨毛ないし絨毛腺腫 tubulovillous or villous adenoma ≥25% villous = 管状絨毛, ≥75% villous = 絨毛 (WHO Classification 2010) b. 大きさ 1.0 cm以上 ≥1.0 cm c. 高度異形成 high-grade dysplasia (HGD) (Toll AD. 2011)
2. 鋸歯状病変 は下記の3つ a. 鋸歯状腺腫 tradisional serrated adenoma (TSA) , 特に TSA with high-grade dysplasia b. 広基性鋸歯状腺腫/ポリープ sessile serrated adenoma/polyp (SSA), 特に SSA/P with dysplasia c. superficially serrated polyp (SSP) (Hashimoto T. 2018) |
1) 粘膜下層浸潤 Submucosal invasion の深さ 有茎性と無茎性で記載が異なる |
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1a) 有茎性ポリープ (Haggit RC. 1985)
の場合 Head invasion (腺腫-非腺腫成分の境界 neck を超えない浸潤)は転移能 1%未満 Stalk invasion は転移能 2%以上 真の浸潤と偽浸潤 pseudoinvasion/epithelial misplacement を区別する 偽浸潤を考慮する所見: a. 出血はあっても線維形成反応がない,HGDがない b. 円形(球形)の粘液貯留はあっても中に上皮がない |
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1b)
無茎性ポリープ (Kitajima
K.2004) の場合 粘膜筋板(desmin陽性)下縁から1 mm 未満の浸潤では転移能低い (2%以下)→しばしば判定難しい 線維形成反応で粘膜筋板が消失している場合は腺癌の表面から測 る |
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2a)
Histologic Grade (低分化), 2b) 簇出
tumor budding 低分化, 内分泌細胞癌 (NEC) は予後悪い Tumor budding: 視野数22の対物レンズ20x視野で6(12)個以上の5個未満からなる腫瘍胞巣(ケラチン陽性) (Horcic M, 2013) (Dawson H, 2015)(RIeger G. 2017) Tumor Budding* Low (0-4 in 0.785 mm^2) Intermediate (5-9) High (10 or more) *視野数20で対物20倍レンズで hot spot をカウント 視野数22なら補正(1.2で割る)と CAP protocol には記載されている |
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3) 脈管侵襲 lymphovascular invasion 静脈侵襲に VB-HE (あるいは EvG, E-Ma) リンパ管侵襲の同定に podoplanin (D2-40)染色 (Wada H. 2015)がそれぞれ有用 |
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4) 断端 Margins 欧米では 1 mm以下 (Tumor at or less than 1 mm from the resection margin) が予後不良リスクと判断される 日本では,露出を持って断端陽性(治療ガイドライン)
ポリープの大きさ: 0.4 cm 未満 → 分割の必要なし(標本の必要もない? Gellad GF. 2013) 0.4〜0.8 cm → 2分割 (bisect), 1カセットに入れる 0.8〜1.2 cm → 3分割 (trisect), 真ん中だけ茎をつける 1.2 cm を超える → できるだけ茎のある部分を標本にする |
附記:生検報告 胃生検に比べ大腸生検での判定困難例は少ないが,炎症性腸疾患合併例ではHGDの見落としの危険があることに注意しなければいけない。診断困難な場合の対 処は胃生検と同様に行うべきである。 1. HGD か浸潤癌か区別できない場合 (Group 4) の報告例: - High grade dysplasia, at least; invasive adenocarcinoma cannot be ruled out 線維形成反応は 浸潤と関連 (Tomita S. 2013)。これがあれば生検のみでも浸潤を示唆できる。 2. 癌か反応性か区別できない (Group 2) 場合: 追加検討なしで Group 2 と報告することは望ましくない。どうせ何を追加しても結論は変わらない...などと予断を持たないこと。標本作製面が変わるだけで結論が出ることがある。 [報告例1] - Atypical glands, not further specified (p53, wild type pattern; IMP3 negative) 良性を決定づける染色はない。「p53とIMP3が陰性だから良 性」という判断はできない → Atypical glands, NOS にする [報告例2] - Aypical glands, highly suggestive of high-grade dysplasia or adenocarcinoma Immunohistochemistry Positive: p53 (75%), IMP3 (50%) p53, IMP3の免疫染色: 部分的でもp53陽性なら腫瘍を疑うが「大腸癌」を示唆する定まったカットオフ値はない。 だいたい10%くらい? 正常にみえる部分との染色の差で判定? Rodrigues NR. 1990; Kawasaki Y. 1992, Kawasaki Y. 1992, Baas IO. 1994, Yao T. Pathol Int 1996, Clausen OP. Diagn Mol Pathol 1998, Nomura M. 2000, Yantiss RK. 2002 肉腫の p53 の カットオフは10%くらいが多い印象 (Jin Y. Neurochem Res. 2016) IMP3も10% cutoff で感度・特異度は同定度 (Wei Q. 2017, )。 IMP3 was detected in 22 of 56 (39.3%) adenomas and 182 of 244(74.6%) colorectal carcinomas beta catenin (核) は染色性にムラがあり腺腫も染まるので推奨できない。 SATB2やCDX2やCK20やVillinは正常大腸粘膜でも染まるので,腫 瘍か反応性かの補助には使えない。 |