京都大学医学部附属病院 病理診断科・病理部
Department of Diagnostic
Pathology, Kyoto University Hospital
指導責任体制・設備・診療・研修概況 2021年12月28日現在
研修医募集は
こちら
当科での病理専門研修を希望される方々へ ー 教授挨拶に代えて ー

「人体の組織のみについて,その外貌形態のみを究め,ただそれだけにて事足るとなすが如きは,進歩的なる病理解剖学の本領に非ず」
藤浪鑑(ふじなみ・あきら,京都大学医学部初代病理学教室教授)著『剖検示説』(1923年)
組織標本・細胞診標本から何を知ることができるのかは,臨床情報,他の検査情報との相関があって初めて明らかになります。病理診断アトラスだけを眺めて,疾患名が想起できたとしても,それだけ
では病理医として十分ではありません。病理医は標準的な病理診断方法を身につけると共に,形態
学的変化の背景にある臨床症候,細胞生物学的変化,腫瘍生物学的知識を基盤とする治療戦略についても学び,病理診断に科学的根拠を与えるべく臨床病理学的
研究を行い,形態学的観察を中心とする病理診断をさらに有用なものに変える努力を行う必要があります。日常の診断サインアウト(=討議しながらの病理診断
報告書の作成)においては,与えられることだけに満足せず,文献検索・臨床カンファレンスや電話
対応も含め,症例から自ら学ぶ姿勢が必要です。
病理専門研修の基幹病院である京都大学医学部附属病院では,それぞれの専門領域を持つ指導教官による日々の診断指導に加えて,毎週の教育コース,多くの学術誌,海外短
期研修,国内外の招聘講師など様々なリソースから学ぶことができます。当科の管理する京大病院での70万件余りの診断データベースは診療・研究の両方で多いに活用されています。
連携病院では,自らが最初に診断を下す機会が増えます。責任の範囲も広がり,カンファレンスや病理診断科の運営についてより積極的な関与,よりスピーディな対応を求められます。
基幹病院,連携病院に在職中に症例報告(英文でも和文でも)の投稿を通じて,個々の疾患に対する理解を深めてもらいたいと思います。学会発表の経験のみで専門医試験を受験することは勧められません。
大学院受験は専攻医3年目以降で可能です。基礎医学の理解,統計解析の理解などは将来の診断能力を高める上で必要となってきま
す。大学院時代には診断する機会が多少減るかもしれませんが,診断そのものについてより深く考え学ぶ機会としてほしいと思います。
最終的に、自分の世界,すなわちサブス
ペシャリティ(臓器別・病態別の専門領域)の確立を目指してほしいと思います。自ら発信できる領域を持つことは,病理診断学の面白さを実感し,病理全体のレベルを上げ,相互の協力体制
を作り,後継の育成につながっていきます。
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指導担当(全員所属が違ってる...)
羽賀 博典(はが・ひろのり)
新潟高等学校普通科卒(昭和60年)
京都大学医学部医学科卒(平成03年)
博士(医学)(京都大学, 平成16年)
死体解剖資格 (第6650号,平成07年12月11日)
日本病理学会 病理専門医(第1970号,平成09年07月28日) 研修指導医 学術評議員
日本臨床細胞学会 細胞診専門医 (第2038号,平成15年12月19日)評議員
所属学会等:日本病理学会・日本臨床細胞学会・日本肝臓学会・日本移植学会・日本リンパ網内系学会・・日本肝移植学会
専門分野:肝移植病理,リンパ球増殖疾患,病理情報,小児病理
受賞:国際病理アカデミー日本支部・病理診断学術奨励賞 (2007年)
内線:3520(教授室),4946(秘書室)
南口 早智子(みなみぐち・さちこ)
京都教育大学附属高等学校卒
滋賀医科大学医学部医学科卒(平成06年)
博士(医学)(京都大学, 平成12年)
サウスカロライナ大学留学
死体解剖資格 (第6805号,平成08年12月13日)
日本病理学会 病理専門医(第2125号,平成11年07月21日) 研修指導医 学術評議員
日本臨床細胞学会 細胞診専門医(第1747号,平成12年12月22日) 評議員
所属学会:日本病理学会・日本臨床細胞学会・ほか
専門分野:細胞診,胎盤病理,消化管病理,肝胆膵病理,病理解剖
内線:3488(病理診断室)
吉澤 明彦(よしざわ・あきひこ)
長野県立飯田高等学校卒
信州大学医学部医学科卒(平成09年)
博士(医学)(京都大学,平成22年)
メモリアルスローンケタリングキャンサーセンター留学
死体解剖資格(第7553号,平成14年05月09日)
日本病理学会 病理専門医(第2353号,平成14年07月30日) 研修指導医 学術評議員
日本臨床細胞学会 細胞診専門医(第2027号,平成14年12月27日)評議員
日本臨床検査学会 臨床検査専門医(第628号,平成15年08月03日)
所属学会等:日本病理学会・日本臨床細胞学会・日本肺癌学会(細胞診判定基準改定委員),日本ブラキスピラ学会(幹事),日本テレパソロジー・バーチャルマイクロスコピー研究会
専門分野:肺病理(腫瘍),消化器,テレパソロジー
内線:3488(病理診断室)
藤本 正数(ふじもと・まさかず)
高槻高等学校卒
熊本大学医学部医学科卒(平成16年)
博士(医学)(京都大学,平成27年)
日本病理学会 病理専門医 指導医(第2822号,平成22年)
日本臨床細胞学会 細胞診専門医(第2855号)
International Committee for Dermatopathology – Union Européenne Médecins Spécialistes 認定 国際皮膚病理専門医(平成27年12月)
所属学会:日本病理学会・日本臨床細胞学会・ほか
専門分野:皮膚病理,血液病理
内線:3488(病理診断室)
山田 洋介(やまだ・ようすけ)
石川県立金沢泉丘高等学校卒
金沢大学医学部医学科卒(平成17年)
博士(医学)(北海道大学, 平成23年)
ハイデルベルク大学マンハイム医学部(ドイツ)留学
死体解剖資格(第8569号,平成23年04月25日)
日本病理学会 病理専門医(第2941号,平成23年08月03日)
日本臨床細胞学会 細胞診専門医(第3136号,平成25年12月09日)
所属学会:日本病理学会・日本臨床細胞学会
専門分野:胸腺病理・iPS細胞
内線:3488(病理診断室)
竹内 康英(たけうち・やすひで)
愛知県立旭丘高等学校卒
京都大学医学部医学科卒(平成22年)
博士(医学)(京都大学, 令和02年)
日本病理学会 病理専門医
日本臨床細胞学会 細胞診専門医
所属学会:日本病理学会・日本臨床細胞学会
専門分野:腫瘍生物学
内線:3488(病理診断室)
主な設備
・討議用顕微鏡システム+顕微鏡撮影装置
10人用 Nikon, 5人用 Nikon, 3人用×2 Olympus , 2人用×5 Nikon
110インチ相当マルチモニター (55インチ x 4) x 2台 + ハイビジョンカメラ,他
・蛍光顕微鏡 (FISH, Opal多重蛍光) Olympus
・切り出し室:第一管理区分
・病理業務システム:
インテック 病理・細胞診検査業務支援システム Expath III (2016.5〜)
FileMaker Pro 自作システム
[1999〜]
・PCR コバス4800システム(EGFR遺伝子変異, ROS1遺伝子変異検出)
・自動免疫染色装置:ベンタナ ベンチマーク ULTRA 3台、ライカ ボンド 2台
・HE染色標本作製装置 (HE 600),特殊染色装置 (ベンチマーク SS)
・液状検体細胞診検査システム:ThinPrep ホロジック, BD シュアパス™ 液状細胞診システム
・バーチャルスライドシステム:浜松ホトニクス NanoZoomer S360,Webサーバ
・無線LAN (Wi-Fi):KUINS 3
・実験室:医学部F棟3階
多重蛍光顕微鏡システム NEW:Mantra quantitative pathology imaging system (PerkinElmer®)
細胞培養,他
・標本保管:外来棟地下への拡張を予定.
病理部(書架式,中央診療棟2F)・第三臨床研究棟3F・総合解剖センター
ディープフリーザー,パラフィンブロック,ホルマリン浸漬臓器
・第三臨床研究棟1F
がんゲノム解析室 NEW(稼働準備中)
診療件数
京大病院内の組織診断・細胞診件数
|
2007
|
2008
|
2009
|
2010
|
2011
|
2012
|
2013
| 2014
| 2015
| 2016
| 2017
| 2018
| 2019
| 2020
| 2021
|
組織
|
10,937
|
11,081
|
11,440
|
11,944
|
12,411
|
12,795
|
12,749
| 12,385
| 12,771
| 13,253
| 13,515
| 13,362
| 13,634
| 12,613
| 13,107
|
(内迅速)
|
929
|
910
|
991
|
986
|
1,029
|
928
|
973
| 941
| 1,015
| 1,074
| 1,021
| 978
| 952
| 933
| 958
|
細胞
|
14,003
|
14,576
|
14,542
|
14,122
|
14,532
|
14,401
|
14,013
| 13,412
| 13,368
| 12,705
| 11,969
| 11,231
| 10,868
| 9,364
| 9,394
|
(内迅速)
|
508
|
474
|
477
|
527
|
578
|
583
|
546
| 535
| 561
| 576
| 564
| 647
| 590
| 596
| 528
|
病理解剖件数:(総合解剖センター)
解剖
|
2007
|
2008
|
2009
|
2010
|
2011
|
2012 |
2013
| 2014
| 2015
| 2016
| 2017
| 2018
| 2019
| 2020
| 2021
|
院内
|
31
|
39
|
43
|
43
|
30
|
42
|
29
| 29
| 28
| 23
| 30
| 46
| 34
| 31
| 18
|
院外
|
6
|
9
|
8
|
3
|
5
|
9
|
2
| 10
| 11
| 8
| 4
| 5
| 3
| 3
| 4
|
遺伝子検査(G番号):2016年5月から採番開始
EGFR 遺伝子検査(生検,細胞診,血漿), FISH (1p/19q, ALK, EWSR, SYT 等) は院内で実施。
EBER ISH, HER2 DISH, MDM2 DISHは院内報告で,組織診断(H番号)のみで報告.
BRAF, KIT, RAS, MET, MSI, NGS, MyChoice, PD-L1 IHC は院外へ外注。
遺伝子
|
2016
| 2017
| 2018
| 2019
| 2020
| 2021
|
院内
|
317
| 585
| 829
| 1,060
| 877
| 1,001
|
電子顕微鏡検査(外注)
腎臓・心臓 電顕
|
2009
|
2010
|
2011
|
2012
|
2013
|
2014
|
2015
|
2016
| 2017
| 2018
| 2019
| 2020
| 2021
|
院内
|
59
|
63
|
83
|
96
|
100
|
121
|
135
|
129
| 150
| 137
| 152
| 127
| 117+
|
・その他:
保険医療機関連携による病理診断(テレパソロジー含む): 4施設 (2017年07月現在)
衛生検査所からの検査受託(医療機関指定): 2社 (2017年07月現在)
院外コンサルテーション・免疫染色受託(研究支援扱い): これまでに100施設以上から受託
中央病理判定(臨床研究)
・教育コース(週1回, 水曜日)
・各診療科との定期カンファレンス
剖検CPC,定期の生検・手術例検討,キャンサーボード(週1回,火曜日)
・病理診断講習会(ボストン-京都,2年に1回⇒休止中)
初期臨床研修の受け入れ状況
H26年度以前:同一期間5名程度までを受け入れ(平均3か月)
H27年度以降:原則,病理医志望者を受入 (1年次, 1ヶ月; 2年次, 3ヶ月以上)
実績
・H22年度 16名 (1年次, 1名;2年次, 15名)
・H23年度 13名 (1年次, 2名;2年次, 13名)
・H24年度 15名 (1年次, 受入停止;2年次:男11名,女4名)
・H25年度 17名 (1年次, 男2名,女1名;2年次, 男8名,女6名)
・H26年度 17名 (1年次、男1名;2年次、男8名、女6名,後期2名)
・H27年度 2名 (1年次,0名; 2年次,男2名)
・H28年度 2名(1年次, 0名; 2年次, 男1名,女1名,後期1名)
・H29年度 8名(1年次, 0名; 2年次, 男4名,女4名)
・H30年度 10名(1年次, 0名; 2年次, 男6名,女4名)
・H31年度 5名(2年次,男3名,女2名)
・R02年度 4名(2年次,男1名,女1名)
・R03年度 数名
京都大学医学部病理研修プログラム 病理専攻医の受け入れ状況
・H22年度 2名(男1名,女1名)
・H23年度 2名(男2名)
・H24年度 4名(男3名,女1名)
・H25年度 0名
・H26年度 2名(男1名,女1名)
・H27年度 5名(男3名,女2名)
・H28年度 3名(男2名,女1名)
・H29年度 2名(女2名)
・H30年度 5名(男1名,女4名)
・H31年度 5名(男3名,女2名)
・R02年度 3名(男3名)
・R03年度 3名(男2名,女1名)
研修期間:
原則3年:
連携病院での研修を含む
病理専門医試験受験結果
2002年〜2012年:29 名受験, 29名合格 (100%)
参考:全国平均合格率 約81% (約0.8人/大学/年)
2013年,2014年は受験者なし,2015年は1名合格
2016年は当科で研修した8名全員が合格(1回の試験では過去最多)
2017年の受験者なし
2018年は5名受験,5名合格(京大プログラムから転出の2名を含む)
2020年は転出も含め全員合格 (2/2)
病理専門研修医待遇:
院外診療応援 (切り出し・組織診断・病理解剖) による収入あり
国内学会出張費補助 (1年次〜)
日本病理学会総会(旅費・滞在費)
海外出張費補助 (2年次〜)
米国カナダ病理学会(旅費・滞在費)
連携病院研修:原則として3年次以降
病気・怪我・その他障害・妊娠・出産・育児・配偶者の移動等による研修休止・内容変更には随時対応を検討
採用時の注意点
1. 医員は大学院生を兼ねることはできません(医学研究科の規定による)
論文執筆・研究は可能
2. 他診療科の診療は原則として認めません(時間外も含む)
当科の内規による [連携病院勤務は各病院の規則に従う]
その他問い合わせ先:pathology[at]kuhp.kyoto-u.ac.jp (秘書:井尻)