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「デジタル病理画像を用いたPD-L1免疫染色標本の自動解析に関する研究」

肺がんは近年増加傾向にあり,我が国におけるがん死の上位に入っています.肺がんの治療には,手術療法,薬物療法,放射線療法がありますが,近年ペムブロ リズマブ(キイトルーダ(r) )などの免疫チェックポイント阻害剤のめざましい効果が脚光を浴びています.それらの薬剤を投与して効果があるかどうかの予測, またいつ投与すべきかの判断は,タンパクの免疫染色によってなされます.その判定は,病理医による病理診断として行われますが,その判定は時に非常に難し く,また判定医間の不一致が問題になっています.一方近年,病理組織標本のガラススライド全体を高精細な画質でデジタル化にする技術(Whole slide imaging: WSI)が開発され,現在遠隔病理診断や教育,カンファレンスに用いられています.本検討では,患者さんから切除された肺がんの組織から作成されたガラス 標本をデジタルデータ(WSI)に変換し,これをコンピュータで解析することで,より客観的な判定が可能かどうかを検討することを目的とします.

京都大学医学部附属病院では1年間に200例以上の肺がん手術を行っており,切除された肺がん組織で病理診断が行われ,再発や予後との関連を調べることに よって,今後の癌治療に非常に役立つことが期待されており,我々は研究をすすめています.

対象患者さん:当院にて2001年から2016年までに肺がんの外科的切除を受けられた患者さん
研究期間:倫理審査承認日(2019/05/03)から3年
倫理審査:倫理審査委員会の審査をうけ,研究機関長の許可を受けている
共同研究機関:九州大学

患者さんのデータは通常に診療を受けていただく際に記録されるデータであり,また病理データはすでに切除後の組織を用いて検査を行いますので,特別に患者 さんに御負担いただいて収集するものはございません.また,過去の診療記録から得られた資料を用いますので,同意書は頂きませんが,患者さんの情報は匿名 化され,プライバシーは保護されております.解析の一部は九州大学の共同研究者が行います.この研究で得られた結果は,専門の学会や学術集会に発表される ことがありますが,患者さん個人に関する情報が外部に公表されることは一切ございません.
本研究に対してご質問のある方,また,研究資料の入手,閲覧を希望される方(なお,他の研究対象者等の個人情報及び知的財産の保護等に支障がない範囲内 で),もしくは身内の方でご質問のある方,もしくはご自身のデータを利用されたくない方は下記の研究責任者にいつでもお申し出ください.なお,もし研究協 力を拒まれたとしても患者さんに不利益は一切生じませんのでご安心ください.

データ利用の目的と趣旨をご理解いただきますよう,よろしくお願い申し上げます.

対応窓口,研究責任者:
吉澤明彦 (京都大学大学院医学研究科附属 総合解剖センター 准教授)
備瀬竜馬 (九州大学大学院 システム情報科学研究院 准教授)

研究連絡先:
京都大学医学部附属病院 病理診断科             075-751-3488 akyoshi@kuhp.kyoto-u.ac.jp
京都大学医学部附属病院 相談支援センター 075-751-4748 ctsodan@kuhp.kyoto-u.ac.jp