京都大学医学研究科
病理診断学分野
病理診断科・病理部
研究紹介 2019
Research in Department of Diagnostic Pathology, Kyoto
University
病理診断と治療を結びつけるために,ヘマトキシリン・エオシン染色標本を中心とした形態観察のみでなく各科の先生との緊密な連携が欠かせません。研究につ
いてもこの基本姿勢は変わりません。
基礎医学分野としての病理診断学は附属病院の病理部・病理診断科に所属する病理医・臨床検査技師,さらには総合解
剖センターや臓器移植医療部所属の病理医と協力して診療・教育・研究業務をおこなっています.
私たちは中央診療部門・形態研究支援センターとして他の研究室への研究協力を行う一方で,日常診療への直接応用を目標とした独自の診断学的研究・症例報告を行っています.
A. 移植病理・免疫病理 Pathology of Organ
Transplantation and Immunopathology
B. シグナル伝達と疾患 Signal transduction and
Diseases
C. 肺癌の臨床病理的解析 Clinicopathologic Study of
Lung Cancer
D. その他:膵臓・胎盤など Pancreas, Placenta, etc.
A.
移植病理・免疫病理・症例報告他 [指導:羽
賀, 片岡,山田, 他]
臓器移植後におけるグラフト生検の病理組織診断はグラフト障害の診断・治療方針の決定に欠かせないものとなっています。これ
までに肝臓・肺・小腸について拒絶反応やGVHD (移植片対宿主病)の病態解析について報告してきました。
移植肝の国際的診断基準を提唱する
Banff Working Group の活動に参加しています。
症例報告発表は学術的な価値のみならず病理専門医の受験資格としても必要です。
補体分解産物 C4d 免疫染色
論文( )は筆頭者の当時の職名
☆ 髄様癌形質の腎癌(専攻医)
Tsuzuki S, et al. Pathol Int 2019
☆ NMDA受容体脳炎(専攻医)
Iemura
Y et al. Pathol Int 2018
☆ SQSMT1-ALK 類上皮細胞組織球腫(専攻医)
Nakayama
R et al. Diagnostic Pathology 2018
☆ galectin-3 と IgG4関連疾患(研究員)
Salah
A et al. Patholog Res Int 2017
☆ カルバミルリン酸合成酵素欠損症(専攻医)
Yamaguchi
M et al. Pathol Int 2016
☆ MTX 関連EBV関連血管炎の提言(大学院生)
Fujimoto
M et al. J Cutan Pathol 2016
☆ 骨髄移植後の胸膜実質性線維弾性症(網谷病)と非特異性間質性肺炎(専攻医)
Takeuchi
Y et al. Histopathology 2015
☆ 肝移植の抗体関連拒絶反応とDSA(大学院生)
Salah A et al. Liver
Transpl 2014
B.
シグナル伝達と疾患 [指導:片
岡]
マスト細胞におけるKITの発現,さらにKITを発現する腫瘍であるGISTの研究から派生して,様々な炎症性疾患や腫瘍細胞増殖に関わる受容体・シグナ
ル伝達に関する研究を行っています。
☆ 妊娠と KIR2DL4(臨床検査技師)
Ueshima
C et al. Am J Pathol 2018
☆ SLAMF8とマスト細胞腫症(学部学生)
Sugimoto
A et al. Exp Dermatol 2018
☆ KIR2DL4とランゲルハンス組織球症(大学院生)
Takei
Y et al. Oncotarget 2017
☆ CEACAM1・マスト細胞症・甲状腺髄様癌(臨床検査技師)
Ueshima
C et al. Cancer Med 2017
☆ NKp46 と色素性蕁麻疹(臨床検査技師)
Ueshima
C et al. Exp Dermatol 2015
☆ CD72 とマスト細胞(教員)
Kataoka
TR. Int Immunol 2015
C.
肺癌の臨床病理的解析 [指導:吉澤]
組織マイクロアレイ(TMA)を用いて、肺癌の予後に関連しうる表現型・遺伝子発現を解析します.TMAは多種類の組織を
1つのブロックに包埋したものです。
1枚の切片で多くの患者の組織を観察可能となります.免疫組織化学,in situ
hybridizationなどの手法により多数例が迅速に解析できます。
組織マイクロアレイ
☆p40 陽性小細胞癌(大学院生)
Nakajima
N et al. Thracic Cancer 2019
☆ GATA6 陽性肺癌(大学院生)
Nakajima
N et al. Histopathology 2018
☆ ALK 遺伝子再構成のRNA ISH 解析(大学院生)
Nakajima
N et al. Histopathology 2017
☆ MUC4 陽性肺腺癌(専攻医)
Rokutan-Kurata
M et al. Clin Lung Cancer 2017
☆ アディポフィリンを発現する肺腺癌(大学院生)
Fujimoto
M et al. Histopathology 2017
☆ 肺腺癌分類と予後,EGFR遺伝子・KRAS遺伝子変異との関連(教員)
Yoshizawa
A et al. J Thorac Oncol 2013
☆ IgG4陽性形質細胞を間質に持つ非小細胞肺癌(大学院生)
Fujimoto
M et al. Hum Pathol 2013
D. 胎盤・膵臓・他 [指導:南口, 他]
☆ 膵癌と良性上皮の鑑別のための免疫染色パネル(大学院生・臨床検査技師)
Furuhata
A et al. Pancreas 2017
☆ 下行結腸発生のPEComa(専攻医)
Iwamoto
R et al. World J Surg Oncol 2016
☆ BCOR-CCNB3 肉腫の臨床病理学的検討(専攻医)
Shibayama
T. Pathol Int 2015
☆ 形質細胞分化を示したALK 陽性 B細胞リンパ腫 (専攻医)
Hashimoto
T et al. Pathol Int 2014
☆ 胎児の発育不全と抗体関連拒絶反応の類似性(教員)
Minamiguchi
S et al. Pathol Int 2013
☆ MEN1型における膵管癌とNETの衝突癌(専攻医)
Moriyoshi
K et al. Pathol Int 2013
上記のテーマに限らず,臨床の一員として研究心を持った先生方の参加をお待ちしています.
他の研究室との協同研究も募集しています.
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