2016.06.29開始 改訂:2016.07.01,2016.07.05, 2016.07.26,2017.06.02, 2018.04.25, 2018.10.19, 2018.11.08, 2019.01.23
当科の運営上に必要と判断して遵守をお願いする内規です。
日付は,内部での連絡日です。
改訂・見直しは随時行っていきます。
羽賀
【院外病理解剖の受付】2018.11.08, 2019.01.23
院外解剖受付の注意点
院外解剖は原則として連携病院の解剖を受託する。その際に医療事故関連かどうかの確認を行う。
(1)医療行為関連死(医療事故関連)の可能性の確認
京都府内で,可能性がある場合は,まず,『京都府医療事故調査等支援団体連絡協議』
窓口:京都府医師会(075-354-6355)に相談してもらう
京都府外の場合は,当該の府県により対応が異なるため当科で引き受けない可能性がある
(2)医療事故関連以外であっても,関連病院以外からは引き受けられない。
『関連病院*からの病理解剖しか受け付けておりません』と断る
[後から医療事故関連であった場合が判明した事例がある,解剖以後の協力体制が保証されない,などで問題が生じたことがあるため]
*病理研修プログラムの連携病院だけでなく,他診療科の関連施設/連携施設を含む
(3)料金支払い承諾の確認
・解剖料金は 35万6,000円であり,京都大学より後日請求があることを伝える(必ず正確な金額を伝える)
・解剖料金とは別に,搬送料金等が発生することを伝える
ご遺体の搬送は京都大学との契約業者(2019年1月現在は公益社:今後変更あり)を利用してもらう
契約業者に,搬送料金と清掃料金を支払うこと (公益社TEL:075-221-4000)
→ 『契約業者に支払えない場合は解剖できません』と伝える
金額を尋ねられたら下記のように応える(病院の所在地等により金額が変動する)
「正確な金額は業者に確認して頂きたいと思いますが、7~8万円掛かる場合もあると聞いています」
※京都三菱病院,枚方公済病院,高島病院,済生会野江院は,公益社と契約している。搬送・清掃料金を言う必要はない
(1)〜(3)を病院が了承したことを確認後,下記について聞き取りを行いメモする:
・病院名,診療科,主治医名
・患者氏名(漢字・よみがな),患者の年齢・生年月日,性別,死亡時間
・臨床診断
・感染症の有無(HCV,HBV,HIV,梅毒,結核,など)
・解剖の範囲(開頭・開胸・開腹) ※開頭の場合は耳の後ろに傷跡が見えることを伝える
・剖検の目的(遺族が希望の場合も含む)・検索事項
・主治医の連絡先
(病理医が主治医に直接話を訊く場合もあるので、必ず主治医に繋がる連絡先を聞くこと)
執刀医・検閲医(最終的に羽賀教授)に依頼内容を伝え,解剖受諾の可否決定後、依頼病院へ連絡
主治医到着時刻,遺体搬入時刻を確認し、解剖センターへ連絡
解剖依頼手順(院内・院外共通) http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~pathology/download/autopsy_tejun_2018.pdf も参照のこと
【患者情報保護】2018.11.08
ウェブサーバ,バーチャルスライドサーバに,患者が特定される可能性のある個人情報が掲載されないように注意しなくてはいけない。
1. ファイル名に人名を使用しない(人の名前を含む病名も含む)。
2. 原則としてバーチャルスライド形式以外の書類を置かない。他人が作製したpdf書類, jpeg書類は個人情報がないかどうか必ず全体の内容を確認する。
3. 他科の人にウェブサーバを操作させない。
【病理診断の日本語部分(所見)の記載】2018.10.19; 2018.11.08
1. 検体受付・肉眼所見:
1.1 受け取った検体(個数・大きさ),切り出しのプロセスを記載する。
1.2 患者氏名を記載してはいけない
2. 組織所見記載:
2.1 【記載の回避】顕微鏡所見は必須ではない。必要があると判断すれば記載する(病名からは推測できない特徴的な所見など)。
2.2 【複雑さの回避】複雑な構文や一般的でない言い回しを用いた表現は避ける。
2.3 【矛盾の回避】英語と矛盾する記載にならないよう注意する。
2.4 【重複の回避】シノプティックや取扱い規約と同じ内容を,日本語部分で繰り返して記載しない。
例外1:日本語病名を記載する場合
例外2:病変のあるブロックを明示する場合(e.g. リンパ管侵襲, 遺伝子検査, 断端陽性)
3. 英語で記載すべきことを日本語のみに記載しない。
安易に See description として日本語部分に言い訳を書くことは望ましくない。部位・採取方法の英訳がわからないときは調べて記載する。
4. 主観的な表現は極力避ける。
定量的な表現の併記/置き換えを検討すること。
例1:分裂像は目立ちません(<1/50 hpf)。
例2:多数の好酸球を認めます → Eosinophil count: 300/hpf (適切と判断すれば synoptic report の部分に記載してもよい)
【標本管理】2018.04.25(元の制定:病理診断部規約 2007.04.09)
1. 原則としてパラフィンブロックは貸し出さない。
ただし患者の治療,警察の捜査等のため供出することはある。その場合は診断報告書等に記録する。
2. パラフィンブロック,スライド標本の出し入れは当科の職員,および指名された解剖センターの職員が行う。
他科の職員や,他施設の病理医に行わせてはいけない。
【切り出し】2017.06.02
1. 脂肪の多いものを先に切り出す Cutting of fatty tissues (or breast) should be completed first because they require longer processing.
理由:脱脂(時間がかかる)の必要な組織を先に処理する必要があるため
2. 標本番号(H番号) の順に切り出す Tissues should be processed in the order of accesstion number.
理由:作製されたブロックの処理を円滑に行うため
3. ロングカセットは相当の理由(e.g. 教員からの指示,研究用など)がないかぎり,使用しない Large histology cassettes should not be liberally used.
理由1:一部の自動免疫染色装置と固定包埋装置がロングカセットに対応していない
理由2:保管場所がロングカセットに対応していない
理由3:カバーガラスからはみ出して検鏡できない部分ができる場合がある
4. ワークシート(組織診断依頼票)を血液で汚さない Blood-stained worksheet should not be submitted for diagnostic sign-out.
血液で汚れたまま朝のサインアウトに回ってきた場合は診断しない(!)かも
5. 切り出しが終わった後の,固定に使用した容器の扱い
(1) 流しに置く(消毒槽に入れない)
(2) ラベルは剥がす
6. 使用後,消毒槽に入れるべきもの Immerse used scalpel handles and cutting boards into the disinfection sink.
(1) 替え刃を外したあとのホルダー
(2) まな板
7. 腫瘍のあるブロックがどれか明記する。必ずしもすべてのブロックではないが,遺伝子検査への提出を意識したレポートが望まれる。腫瘍の極端に少ない (100個未満)の検体で診断する場合は,その旨を所見に記載する。
【免疫組織化学オーダー】2016.01.04より実施,2016.06.29, 2016.07.05, 2019.01.23
PMS2, MSH6 免疫染色は若年の類内膜癌,大腸癌で実施する(e.g. 50歳以下)。
1. 大腸癌のMMR
(1) 大腸癌(EMR, 手術) では,PMS2,
MSH6をオーダーする。
PMS2陰性(90%以上
の細胞で染色性が認められない)では,MLH1, MSH2,
BRAFV600E の3つを追加オーダーする
MSH6陰性
(90%以上の細胞で染色性が認められない)では,MLH1, MSH2
の2つを追加オーダーする
【医師の超過勤務】2016.07.26
1. 無理な残業は誤診の原因となりうるだけでなく,専攻医の研修を妨げるため,下記の申し合わせを行った.
(1)
医員の場合,日をまたぐ(午前0時以降),休日祝日の時間外勤務は,教員の誰かに事前に連絡し,業務の内容につき,それが必要であることの了解を得ること.
(2) サインアウトの下書き(顕微鏡的記載)は本来の業務*を終えていない限り自主学習の範囲とみなす。
*専攻医の本来の業務として,病理解剖のまとめ,切り出しの記載が優先する。解剖の整理が著しく遅れる場合,他の業務の停止を命じることがある。
(3) 超過勤務は,食事時間・休憩時間・睡眠時間を含まないで記録する.
(4)
教員の場合,術中迅速・病理解剖など,他診療科からの依頼がある業務についてのみ超過勤務を申請できる.自分で判断ができない場合は診療科長ないし副診療科長に相談すること.
【迅速診断】2016.07.01, 2016.07.05
1. 時間記入
術中迅速では,最初の検体の報告時間を依頼用紙に記載する(後で技師・補佐員が受付画面で術中迅速の報告時間を入力する).
2. 結核疑いの検体の扱い
肺腫瘍の迅速組織診断検体で,検体受付時に結核の疑いが生じたものは,迅速組織診断の依頼を病理医の判断で中止する。捺印細胞診に切り替えることは可とする。
3. プリオン汚染疑いの検体の扱い
クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob
disease)ないしプリオン感染が疑われる組織検体は,迅速組織診断および組織診断の依頼を病理医の判断で中止する。
捺印細胞診に切り替える
ことは可とする。
蟻酸処理後の組織標本作製は可とする。
【専攻医・研修医の下書き】2016.06.29, 2017.06.03
1. ローテーターの下書きについて
他科希望初期臨床研修医は原則として診断サインアウトの指導を行わない。行ったとしても指導は当科研修希望者を優先する。
2. 移植肝生検
移植肝生検の診断は原則としてファイルメーカー
Pro入力とする(2000年頃より実施)。
ファイルメーカー Proのデータ更新がない場合は,ExPath
へ入力する 。
3. 英語の組織診断名
(1) 腫瘍名はWHO Classification of Tumours の最新版に準拠する (ICD-O-3 コードのある病名,が原則)。
稀な診断名を記載するは出典(文献)を記載することが望ましい
(2) 取扱い規約(金原出版* かねはらしゅっぱん が発行)に従った 記載法を併記してよい。
*1875年創業の出版社。東大医学部から約600 mの距離にある。東大設立より2年早い
取扱い規約独自の記載法(英語ではない)に注意
Group 1 (stomach) → Non-neoplastic gastric mucosa
por2 (stomach) → Poorly cohesive carcinoma including signet ring cell carcinoma
C area (breast) → upper outer quadrant
Rb → Rectum, lower (?)
(3) 存在しない腫瘍名は英語で記載しない(検索ノイズになるため)。
No evidence of carcinoma → Non-neoplastic gastric mucosa
ただし,同腫瘍を強く疑い,将来的に検索され,再検討を強く希望する場合を除く。
【京都大学医学部附属病院病理部内規】 (平成19年3月29日制定)
第1条 この内規は、京都大学医学部附属病院(以下「本院」という。)規程(平成1 9年達示第5号)第6条第6項の規定に基づき、病理部の組織及び運営に関し必要な事項を定めるものとする。
第2条 病理部は、次の各号に掲げる業務を行う。
(1) 病理診断に基づく治療方針及び予後判定に関する基本情報の提供に関すること。
(2) 臨床検体にかかる病理標本及び細胞診標本の作製に関すること。
(3) 病理解剖に関すること。
(4) その他病理診断に関すること。
第3条 病理部に、次の部門を置く。
(1) 病理診断部門
(2) 病理組織標本作成部門
(3) 細胞診検査部門
(4) 免疫組織学的検査部門
(5) 臓器組織保管管理部門
(6) 分子病理検査部門 (2018.04.25 現在 未設定だが実稼働中)
第4条 病理部に、部長を置く。
2 部長の職務は、本院中央診療センター内規の定めるところによる。
第5条 病理部の円滑な運営を図るため、病理部連絡会議(以下「連絡会議」という。)を置く。
2 連絡会議に関する事項は、部長が別に定める。
第6条 この内規に定めるもののほか、病理部の運営に関し必要な事項は、病院長が定める。
附則
この内規は、平成19年4月1日から施行する。
附則
この規程は、平成24年4月1日から施行する。